「歯が痛い」「入れ歯が合わない」と感じていても、身体の不調や介護が必要な状態だと、歯科医院へ通うこと自体が大きな負担になります。そうした方のためにあるのが歯科訪問診療です。歯科医師や歯科衛生士が自宅や施設を訪問し、必要な歯科治療や口腔ケアを行う仕組みで、近年ますます重要性が高まっています。

旭市の「やすらぎ歯科クリニック」では訪問歯科もおこなっております。

歯科訪問診療の対象となる方

歯科訪問診療は、「通院が困難であること」が大きな要件です。要介護認定を受けている高齢者だけでなく、病気や障がいにより外出が難しい方、長期療養中の方なども対象になります。年齢制限はなく、小児や若年者でも条件を満たせば利用できます。訪問先は自宅のほか、特別養護老人ホームやグループホーム、サービス付き高齢者向け住宅などの施設も含まれます。

どんな治療が受けられるの？

「家でできる治療は限られるのでは」と思われがちですが、実際には多くの処置が可能です。虫歯や歯周病の治療、入れ歯の新製・修理・調整、抜歯、歯のクリーニングなど、外来診療とほぼ同等の内容を受けられます。持ち運び用の診療機器を使用するため、衛生面や安全面にも配慮されています。また、嚥下機能が低下している方には、誤嚥性肺炎を防ぐための専門的な口腔ケアや、食事の際の注意点についての指導も行います。

訪問診療の進め方
利用したい場合は、訪問診療に対応している歯科医院へ連絡します。本人や家族からの直接相談のほか、ケアマネジャーや看護師を通じて依頼するケースも一般的です。初回訪問では、お口の状態だけでなく、持病や服薬状況、生活環境なども確認し、無理のない治療計画を立てます。体調に配慮しながら、複数回に分けて治療を進めることもあります。

気になる費用について

歯科訪問診療は健康保険が適用され、治療内容によっては介護保険が関係する場合もあります。自己負担は通常の歯科治療と同じく1～3割で、訪問にかかる交通費などを別途請求されることは原則ありません。事前に費用の目安を説明してもらえるため、安心して利用できます。

歯科訪問診療の大切な役割
お口の状態が悪くなると、食事量が減り、栄養状態や全身の健康にも影響します。また、口腔内を清潔に保つことは、肺炎や感染症の予防にもつながります。歯科訪問診療は「治療」だけでなく、「生活の質を守る医療」でもあるのです。

通院が難しくなっても、歯科医療を諦める必要はありません。歯科訪問診療という選択肢を知り、必要なタイミングで上手に活用することが、健やかな毎日への第一歩になります。